黒龍
「あなた達は有名?」
「ああ」
・・・うん。
やっぱりね。
確かに暴走族のトップで、顔がいいなんてきたら有名にもなるよね。
当たり前のことだよね。
なら、なんで女で呼び捨てにするのは、私だけなの?
他にもいるんじゃないの?
「いねぇよ」
・・・私の考えは、またも顔に出てたみたいだ。
「怯えるか、うぜぇ女かのどっちかだから」
翼が不機嫌そうな顔をしながら言った。
「うぜぇ女って?」
「後ろ」
龍騎に言われて、後ろをむくと・・・
・・・怖い顔がたくさん見えた。
私達が見た途端、皆どっかに行った。
さっきの、人混みはすべて女の人みたい。
「な?」
そう言われてとりあえず頷いた。
「あいつら、香水とか化粧くせぇ」
だから翼は、不機嫌丸出ししてたんだね。
「たっけぇ声も五月蝿いしな」
・・・亮まで。
「だから、お前みたいなのは珍しいわけ」
どこが?
「だってまず、俺等の事を知らなかったんだもんな」
当たり前。
知らなくてもいいことだったんだもん。
知らなくたって生きていけることだもん。
「でも・・・私だって香水つけてるよ?」
「へっ?」
「嘘だろ?」なんて言いながら翼が顔を近づけてきた。
それに続いて、皆が顔を近づけてくる。
ちょっと恥ずかしい。
私の香水は、フルーツの匂い。
元気もでるし、なによりフルーツの匂いが大好き!
「ね?」
「ああ」
「本当だ」
「マジか」
なんて皆驚いている。
なんの匂いだと思ってたんだろ?
「化粧は?」
「してない。めんどくさいんだもん」
「「「・・・」」」
皆黙った。
なに?
どうしたの?
「すっぴん?」
「うん」
「なにもしてねぇのか?」
「だから、そう言ってるじゃんか」
そんなにおかしい?
「変かな?」
「いや・・・」
なんて言いながら、翼の顔は少し赤くなってた。
亮も。
龍騎はそっぽをむいてる。
どうしたのかな?