姉妹
大木から枝をへし折り、庭の花を荒らし、池の水を撒き散らした



それでも釈然としなくて祖父の盆栽のコレクションを破壊し、インテリアの壺を割った




その時ガラッと障子が開いた気がした



これだけの騒音を立てたら誰だって何事かと不審に思うのは当然だ


美紅はたいして気に留めなかった




「美紅、」


祖父が優しく話し掛けてきた


これは美紅にとって想定外だった


この状況を見たら何も言わずに恐怖で青ざめて立ち去るか、怒りに身を任せて怒鳴られるかのどちらかだろうと思っていたからだ


しかし、祖父は優しく笑っていた


庭の惨劇を見回して少し悲しそうな表情をしたあと、美紅を真っ直ぐ見て言った



「おじいちゃんは美紅の味方だよ」



力強い言葉だった



美紅の目に驚きと光りが宿った



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