姉妹
「おーい、おーい美紅ちゃーん」
「美紅どうしたのー?」
「こらーっ!」

ぽんと肩を叩かれてようやく我に返った

「どうしたの?深刻そうな顔して」
「HRのとき上の空だったでしょ。真面目っ子美紅ちゃんたらめずらしー」
「なになに悩み?付きまとってくる男でもいるの?」

本気で心配している様子もあれば茶化し半分のものもあるが、美紅を気遣ってくれる友人の面々だ

「それとも美月ちゃんと喧嘩でもした?」
「うっそぉ!朝だってラブラブだったのに!」
「まさか!美月ちゃんの男が美紅ちゃんを好きで困るって言う三角関係とか」

いやいやいや、それはないから
全部否定だから
美月姉さんと喧嘩とかしたことないし、かといってラブラブって言われるのも怪しい響きがあるし、美月姉さんにはそもそも彼氏いないし

心の中で全力でツッコミを入れたものの口には出さず、美紅はいつも通り苦笑いを浮かべた

「大丈夫、なんでもないよ。心配させてごめんね」

「本当?なんかあったらちゃんと私たちに言うんだよ?美紅は溜め込むんだから」

「そんなことないよ。ありがとう」

「一限は移動教室だって。早く行かないと」

わーっと焦りながらガタガタと授業準備をする光景もまたいつも通りだった

美紅も友人と共に準備に急いだ
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