姉妹
「案外退院早かったね。結構苦しそうだったから、私てっきり…」
善蔵は観念したように美紅に言った
「これはショックを受けるだろうから祖母さんにも美月には言わないでほしいんだけどな、実はこっちが無理を言って退院させてもらったんだよ」
「えっ。じゃあ、検査結果が良かったわけじゃないの?」
「そんなに悪くもないがな、ははは」
微妙に濁したのが気になったが、それ以上質問されないようにか、善蔵は言葉をつづけた
「往生するなら病院の白すぎるベッドではなく畳の上と決めているんだ。それにこんな老いぼれ、どうせ長くないのだから最後くらい自由にしても罪はないと思うんだよ」
「お医者さんの近くにいたほうが安心じゃないの?」
美紅は一気に不安が押し寄せてきた
「いいや」
善蔵はそれに対してはっきりと否定した
「ここに閉じこもっている方がかえって不安だよ。俺は部外者でいたくないからな」