姉妹
「美月姉さん…?」

美紅はがたがたと震えていた

しかしそれは、恐怖から来るものではなかった

純粋すぎる「怒り」だった

三人は今見た場面よりも目の前の美紅に驚愕していた

今はこの子の方が、ヤバイ


「姉さんに何するの…」

「はぁ?あなた誰よ…って聞くまでもなかったわ。忌々しいその顔、同じじゃないの。あんた美紅って言うんでしょ。べったり双子の妹」

有栖川絵梨花はせせら笑いを浮かべた

「ここでもお姉さまを庇うの?こいつは人の彼氏に色目を使うような下種なのよ?」

「姉さんは、下種なんかじゃない」

「あははっまだ言うのね。それともあんたも同類なのかしら。姉妹揃って醜いったらありゃしない。恥知らずだわ」

「やめろっ…」

顔に卑劣な笑みを浮かべる有栖川絵梨花の姿と、かつて美紅を見下し、その結果「制裁」を下されることとなった少女の姿が重なった


美紅の体が小刻みに震えた

「うるさい…」

「取り消せ…姉さんは下種じゃない」


辺りの空気がひんやりとした
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