姉妹
「え?」
「俺が心配しているのはもう美紅じゃないんだよ」
「そうなの?私はてっきり…」
美紅は拍子抜けした
「少し前までは精神の弱い美紅のことだけが心配で、幸せになってほしかったが叶うことはなかった。だからひたすら心配するしかなかった」
善蔵は一言一言を美紅に言い聞かせるようにゆっくりと話した
「だが今は違うだろう美紅。美紅はもう十分強い。幸せになれるよ。だから心配じゃなくなったんだ」
朗らかに笑う善蔵をみて、美紅は涙がこみ上げてきたが涙を流すことは精一杯こらえた
「これもおじいちゃんのおかげよ。ありがとう」
美紅はふと顔を曇らせた
「となると、おじいちゃんが心配してるのって…」
「だから言ったろう、俺の体調について美月にはいうなと。美月は今ショックに非常に弱い」
「お茶はいったよー!」
がらりとスライド扉を体でこじ開けて、お盆に三つの温かいお茶をのせて美月が戻ってきた
美紅はどうしようもなくいたたまれない気分になった