姉妹

名前の間違いを発見できなかった代わりにとんでもないことに気が付いてしまったのだ




切手が貼られていないということ、つまり弥生は自らこの家に来てポストに手紙を入れたのだ




これ以外考えられなかった






住所を書いていなくとも消印が押されてしまえば大体の地域の見当がついてしまう



これを恐れてなのだろう





「しかし…」




ポストにじかに入れに来るなんて




「ばったり会うということは考えなかったのだろうか?」




「美月や美紅はわからないだろうが、俺は変装してても気づく自信があるぞ…」





注意深く見えて案外詰めの甘いところは変わっていない、とふと笑みがこぼれてしまった




同時に涙もこぼれた






「子供二人をほったらかして、お前はいったいどこで何をしているんだ…」




善蔵は涙を残さないように天を仰いだ






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