姉妹
「ただいま」
「お帰り美月」
美月が帰るのと同じタイミングで善蔵は外出しようとしていた
「おじいちゃん、退院に一緒にいなくてごめんなさい」
美月はしゅんとして言った
行かないことを選んだのは自分自身だが、罪悪感をぬぐいきれなかった
「いいんだよ。委員会は終わったのか?」
「うん。」
美月はとっさに嘘をついた
われながら早すぎる反応で怪しまれたかと思ったが、善蔵が気にする様子はなかったので美月が安心した
居心地の悪さを払拭したくて美月は話題を変えた
「あ、さっきね、不思議な雰囲気の男の人に会ったのよ。柿崎さんの家に行くところだったから道案内をしたわ」
「美月は優しい子だね…しかし柿崎さんに尋ね人か」
「その人、昔はここに住んでたって言ってたわ。息子さんかしら?」
善蔵は眉をひそめた
隣の家とは長い付き合いになるが、善蔵の知る限り柿崎家には子供はいなかったのだ
-今度柿崎さんの家に行ってみるか
善蔵は胸のざわめきが収まらなかった