姉妹
善蔵はさりげない風にして美月に尋ねた


「その男性はどんな人だった?外見的特徴とかだが」



「うーん、みためかぁ…すらっとしてて、髪とかさらさらで全体的に優しそうな人だったよ。私と同い年の娘がいるんだって」




「…そうなのか」



「その人にまた会いたいなぁ…」



美月は宙に目を泳がせながらため息をついていった



「え?」


善蔵は戸惑いを声に出した



「あら、違うのよ。いくらなんでも家族持ちの人を好きになったりしないわ。ただ、」



「ただ?」



「変なこと言うって思うかもしれないけど、あの人初めて会った気がしないのよね」



おかしいな、どこかであったかしらと首をかしげる美月を見て善蔵は頭が真っ白になった




ありえない差出人の茶封筒

ほぼ同時期に現れた男

外見も雰囲気も境遇までもが一致する

あの男に

なぜ来ている?何しに来た?



紫雨
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