姉妹
絵梨花は必死になって駆け出した

瞬間的に場を覆った冷気
美紅の友人と思われる少女たちの戸惑い
美月の日ごろは絶対に見せない異常な焦り

そして何より、美紅のわき腹をえぐらんばかりのナイフのように鋭い視線


美紅はおかしい

何かが普通じゃない

美紅が「怖い」



「痛い目に遭えばいい」



「?」

声が聞こえた気がした

背筋につーっと嫌な汗をかいた

突如感じる浮遊感

「あぁっ…」

絵梨花は焦りのあまり階段を踏み外していた

そのまま真っさかさまに堕ちてゆく……

地面に近づいた頃、階段の上にいる美紅と目が合った



・・・笑っている?



「っ!?」

信じられなかった

「悪魔…」

そうつぶやいて絵梨花はドサっと地面と接触した
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