姉妹
僕は歩いていた
懐かしい田舎道を道に咲く花々や雑草の一つ一つに目を配りながら
この町に来るのは何年振りだろうか
みんな元気だろうか
もう気軽に訪ねることは出来ないが
そんなことを考えながら歩き続けていると気が付けば視界に女の子がいた
黒髪のロングヘアに華奢な体
とても美しく、とても寂しそうだった
…?
少し見とれていた後、僕はぴんときた
そして安堵のため息をついた
僕の探し物は案外早く見つかったな、と
迷うことなく話しかけた
正体がばれない確信があった
あの子は僕の顔なんか見覚えがあるはずないのだから
-「道に迷ってしまってね」
案内を頼むと女の子は快く返事をしてくれた
どんなに時がたとうと、この道を忘れるはずなどないのだが
…簡単に忘れられるものなど、この町には一つとしてないのだ