姉妹
僕はしばらくの間、あの子を見ていた


ばれないようにそっと、物陰から




あの子はいつも泣いていた


いつも一人きりだった


何かを失ったかのような無気力な顔で


誰かがいてもいつも心細そうだった


時折一緒にいるあの気の強そうな少女は友達なのだろうか


いいや違う


あの少女は美月のことをかなり気に入っているようだけれど美月は違うのだ


そして時折見つめている


彼女の視線の先をとらえると、彼女と同じ顔をしたもう一人の少女がきまっていた


・・・・あの子は


忘れもしない、僕の、もう一人の



宝物




美月はもう少しで壊れてしまうかもしれない


というより、もう壊れている


時間が、ない



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