姉妹

-「あれ?」


-「どうしたの?美紅ちゃん」


-「私も現代文あると思ったんだけどなかったわ」


-「今日うちのクラスはないもんね」


-「そうね…」



さっき美紅を呼びに行ったクラスの女生徒と話しているようだ




「美紅、ないなら良いわ。大丈夫よ」



「まって姉さま。ほかの友達が持っているかもしれないから」



教科書を借りあう友達ができたのね


当たり前のことだけれど当たり前ではないことだったから


「いいえ大丈夫。隣の子に見せてもらうわ」




美月が教室から去ろうとした瞬間呼び止める声があった


「俺持ってるけど、かそっか?」


今一番聞きたくない人の声

見たくない人の顔



「晴樹持ってるの?姉さまに貸してあげて」




いらないよ





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