姉妹
「・・・・・・・・・・・・・・」
ただひたすら沈黙だった
まるで誰かがそこだけ時間を切り取って意図的に止めてしまったかのように誰一人として動こうとはしなかった
否、動けなかったのだ
呼吸さえ忘れていた
完全に雰囲気に呑まれてしまい目の前で起きた一連の惨事を実感できずにいる
助けなきゃ
でもまず安否を確認しないと
いや先生を呼ぶのが先だ
打ち所が悪かったら最悪の事態になるかもしれない
そんな思いが少女たちの頭には廻っていた
しかし一方でこんな思いもあった
どうしてこんなことになってしまったのだろう
どうしてこんな場面に遭遇しなければならなかったのだろう
本当なら今頃ギリギリ間に合って授業を受けているか、ギリギリ間に合わなくて仲良く先生に叱られているかしているはずなのに
「日常」が恋しい
「非日常」なんていらない
誰のせいでこんなことに・・・?
有栖川さんが美月に変な言い掛かりをしていなければ
二人がもっと人目のないところで争っていれば
美紅が喧嘩を目撃しなければ
有栖川さんが『足を滑らせ』なければ
こんなことにはならなかった
私は関係ない
知らなかったことにしたい
私は関係ない