姉妹
そうだ、
知らなかったことにしよう
美紅の連れの少女たちは密かに足を運ぼうとした
その時
「私たち何してるのよ。ぼーっとしている暇はないわ。早く先生を呼びましょう。」
美月の凜とした声が静まり返った廊下に響いた
「!」
少女たちははっとした
そして自らを疑った
なんてことを考えてしまったのだろう
「知らなかったことにしよう」なんて、そんな「悪魔」みたいなこと・・・
自身への驚きと嫌悪感で胸が満たされていくのがわかった
なんて薄情な・・・
「あなたは先生を呼びに保健室へ」
「あなたは担任の先生を呼んできて」
「あなたは有栖川さんの様子を」
美月のテキパキとした対応に他の少女たちは操り人形のように従順に、そしてたった今頭に浮かんでしまった恐ろしい考えを打ち消さんばかりに一目散に目的地へ駆けて行った
「そして私は・・・」
もはやその目に何も映していないかのように突っ立っている美紅の元へ歩みを進めた
美紅が自分を責めていなければいい・・・そう思いながら