姉妹

「まさか、あれがシグレさん?」


和也は驚きを隠せなかった


「ええ。いつからいたのかはわからないけどね。私はずっと泣いていたし。でも向こう側だから今の話は聞かれていないわ。安心ね」


長髪の、優しそうで、どこかつかみどころのない、そんな男だった


でもどことなく美月と美紅に似たところがあるのは否定できなかった



「私はこれからあの人に話しかけて、おじいちゃんの家へいって荷物をまとめてこの町を出ていくわ」



美月の唐突の提案に和也は付いてこれていなかった



「ちょっと待てよ、あれがシグレさんだっていう保証はあるのかよ」


和也は思わずかっとなって怒鳴ってしまった



「怒らないで和也くん。自分の父親を間違えると思う?前に見た高校の写真と顔が全く変わっていないわ。それにずっと音信不通だった人がこのタイミングで私の前に現れた。初めから連れ戻す気だったのよ。」


< 291 / 327 >

この作品をシェア

pagetop