姉妹

「和也くん、あなたはもう十分すぎるくらい私を救ってくれたわ。あなたがいなければこんな決断は下せなかった」


美月はまた泣いていた


でも今度も違う涙


失恋でもなく、不幸せからでもない


自分を思ってくれる人がいることの感謝の涙


温かい気持ちになる涙



美月は和也の頬に手を当てた


「私はまだ恋愛面では晴樹くんを前にしたら彼を意識してしまうのかもしれないわ。そんな簡単に振り切れる気持じゃなかったから。でもあなたのことはもっと違う。もっと特別。大切な人。ただ一人私を救ってくれた人よ」



「美月ちゃん、好きだよ。最初からずっと」



「ありがとう。大切な人。また逢えるわ」



「またっていつになるのかな」



「きっとすぐよ。あなたのおかげで」



「そうか、じゃあ少しの間さよならってことかな」



「ええ。必ず逢いましょう」





夕ぐれのオレンジ色の光が二人の影を伸ばした


誰もいない、二人だけの世界で和也と美月はしばらく無言のまま、やがて別れた



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