姉妹
「絵梨花へ
突然ごめんなさい。驚いたでしょう。
私に失望したかもしれませんね。私のこと嫌いになりましたか。
でも無鉄砲に決めたわけじゃないってことはわかってほしいの。
ちょっと背中を押してほしかっただけで、それを和也くんがやってくれた。
きっかけを待っていたの。
あのね、私、ずるかった。絵梨花のいうこと全部本当だった。
でも認めるのが怖くて、逃げてばかり、受け入れずにいたわ。
それで結果的にあなたに依存してしまって、あなたの依存にも気付いていたのに、
本当に友達なら、こんなこと良くないって言うべきだったのに。
私はこのままだと現状に甘えたままになる。
美紅を妬んで、あなたを利用して、迷惑をかけるだけの存在になってしまう。
私は自立する必要がある。私が私だけであるために、私だけになるために。
それを私の両親もわかっていた。
だから私だけを連れて行くことにしたのよ。
そうです、お父さんが来ていました。
今まで写真でしか見たことなかったけど、一目見てすぐにわかったわ。
不思議ね。タイミングよすぎるわよね。でもそんなことができるのが私の両親なんです。
初めから私の危うさを分かっていたのでしょう。
私はこの町を出て両親と暮らすことになります。
本当は美紅にも来てほしかった。あなたにも和也くんにも晴樹くんにも見てほしかった。
でもそれじゃ駄目だから。
皆と離れて自分を見つめなおして、大丈夫だと思えたらまたみんなの前に帰ってくるかもしれません。
いつになるかわからないけど。
私のことは忘れてしまっても構いません、いいえ、むしろ絵梨花には私を忘れてほしい。
あなたは私とよく似ているの。絵梨花もそれが分かったんでしょ?
あなたがあなただけの幸せを見つけられることを心から願っています。
どうか元気で。
今までありがとう。大好きよ。
美月」