姉妹
美紅は教室に戻ってきた



今日はどういうわけか和也と一度も顔を合わせていなかった


会ったら聞きたいことは山ほどあるのに


そう思いながら教室のドアを開けた




「やあ。そろそろかと思ってね」



「和也くん!」



和也は静かに窓際の席に座って外を眺めていた



「絵梨花ちゃんに先に会いに行ったんだね。手紙渡してたの見たよ」



和也は中庭から視線を外さずに答えた



「ここからだとね、中庭がよく見えるんだ。今もほら、美月ちゃんからの手紙を読んだであろう絵梨花ちゃんが泣きっぱなしだよ」



「え?」


美紅は和也の前の席に立って中庭を見た


ベンチにうずくまる絵梨花が見えた


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