姉妹
「意外ね…」
絵梨花なら、もっと泣きわめくかと思ったからだ
「俺もそう思ったよ。もっと騒ぐなり君にあたるなりすると思った。本当に美月ちゃんが好きなんだね。そうでもしないと、悲しみをためておこう、なんて気にはなれないよ」
悲しみをためる、か
逃がした方が楽になれるに決まってるのに
「姉さまを忘れないためかしら」
「大多数のクラスメイトと違って彼女は一生美月ちゃんを忘れないだろうね。俺たちだってそうだろ?」
「そうね。でもそれで良いと思うわ」
クラスメイトの一人、という存在では、当時どんなに目立つ子であっても年月がたつと記憶は薄れていくものだ
そういえば、そんな子いたねぇ…というレベルでも覚えられていればまだマシだ
だから深くかかわったほんの一握りだけが覚えていれば万々歳だと思う
「で、美紅ちゃんは俺に聞きたいことが山ほどあるんじゃないかと思うけど」
和也は器用にペンを回していた