姉妹
「そもそも納得できないのよ」
絵梨花は不満を隠す努力すらしていなかった
「なんで和也君には打ち明けたのかしら。私には言ってもらえなかったのに」
「何度も言ってるだろう。美月ちゃんの失踪は突発的なものだったんだよ。計画したわけでもなんでもない。ただの偶然だ」
和也はいつもの調子で切り替えした
それがかえって絵梨花をイラつかせていた
「ただの偶然だとしても、最後に一言くらい欲しかったわ。メールでも電話ででも言ってくれたら私はこんな気分にはならなかったわ」
「君に言ったりしたら、“私も一緒についていく”って言いそうじゃないか。だからだろ?君に言わなかったのは」
「きっと言うわ。私は美月が大好きなのよ。地獄までついていくわ」
「怖いよー、有栖川さん」
冗談めかしていうこの男の言葉は何一つ信用できない
どこをとっても嘘に聞こえる
というか嘘にしか聞こえないのだ
「なんで私よりこんな男を頼ったのかしら」
絵梨花は腑に落ちないまま吐き出した