姉妹
「俺だってわからないよ、正確には。でも、想像はつくんだ。俺に打ち明けてくれた理由がね。」
和也はへらへらした表情を一切変えずに続ける
「なによ?」
絵梨花は心底分からない、という表情を露骨に出した
「俺は美紅ちゃんや絵梨花や晴樹にも…もしかしたら美月ちゃんのおじいさんだってわからなかったかもしれない気持ちを理解出来たんだ。俺に決め手があったとするなら、そこだと思う。」
「…あなたにだけ理解出来た気持ちって?」
「それは言わないでおくよ」
君だって、勝手に自分の気持ちを他人に喋られたらいやだろ?と言って、和也は依然表情を崩さなかった
「そう…分かったわ」
数秒の沈黙の末、絵梨花は折れた
「ここは案外簡単に引いてくれるんだね」
和也は“驚き”の表情をわざとらしく作ってみせた
「分かったのよ、いろいろとね」