姉妹

「絵梨花は、美月ちゃんがいつか帰ってくるって信じてるんだね。」


和也は優しく、確認するように言った


「当たり前でしょ」


即答だった


そこに何も疑いはないかのようだった




「それが絵梨花なんだ。」



迷いがなくて、まっすぐで、強い


自分が信じたものを疑うなんてことは絶対にしない




「その強さが、美月ちゃんには足りなかったのかもしれないね。そういう意味では、美月ちゃんにとって君は、とても必要な存在だったと思うよ。」



「あなたに言われなくったってわかってるわ!」




そう言い捨てて絵梨花は教室を荒々しく出て行った



ちらっと見えたその横顔は、どこか気まずそうな、嬉しいような、歯がゆさがあったと和也は思った





「ばいばい…また明日」



誰もいなくなったその扉に、和也は静かに語りかけた


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