姉妹
-美月失踪当日夕方
和也と別れを告げた美月は、反対の川岸に座っている“シグレさん”という男性に話しかけた
「来たわよ。」
美月は毅然とした表情で前触れなく言った
「やあ、ちょっと久しぶりだね。」
その男は柔和な笑みを浮かべていた
「そうね。今までの、見てたんでしょ。別れは済んだわ。早く行きましょう。」
はぁー、っと“シグレ”と呼ばれる男は腰を上げた
「いつから僕が父親って分かったんだ?」
「最初からよ。当然でしょ。高校生の時の写真から、顔が全然変わってないじゃない。」
といっても、その写真を見たのはそれこそ自分が高校生になってから初めてだったのだが
「そりゃさすがに…はは、俺はまだ若いってことでいいのかな。」
「ええ。あの時のまま、ずっと、変わっていないのね。私たちを捨てるほどだもの、いろいろなことがあったでしょうに。それでも根は変わっていないと思ったわ。」
へぇー!と、今度は“シグレ”は感嘆の声を上げた
「美月はもしやと思っていたが、天才か?」
嬉しく誇らしそうな眼を向けた
「お父さんの子だから」
それが美月には嬉しかった