姉妹
-美月が学校に行って少しあと
-美月と紫雨が川で会う前
紫雨は善蔵に会いに来ていた
「お久しぶりです。」
顔は若さを保ちながらも、ぺこりと下げた頭には少し白髪が混じっている
…苦労をしたのだろうか
…この10年以上、何を思ってきたのだろうか
「久しぶりじゃないだろ。お前今まで何してたんだ。知らない人間の振りして美月に近づきおって…どうして今更、なんの用だ。」
心とは裏腹のことを話す
心配する気持ちも、それ以上に憤り戸惑う気持ちもすべて本当なのだ
「弥生からの手紙は見て頂けましたか。」
紫雨はか細い声で絞り出す
よほど言いにくい内容だというのが第三者にもわかるほどだ