姉妹
「確かに俺は美月の様子が最近おかしいことに気付いていた…原因も予想がつかないでもない。あの子がどれだけ苦労して、考えて行動してきたかももちろん知っている。
だからあえて聞くぞ。もし美月が嫌がってもお前は無理やり連れて行くのか。」
「いいえ。行くか行かないかは美月自身に決めさせます。」
「……………」
どれくらい時間が経っただろう
善蔵はしばらく黙っていた
というのも、この話を何らかの拍子に知った美月がなんて言うかなんて、想像ついていたのだ
「美月はきっとそっちに行くだろう。」
善蔵は認めたくない思いを吐き出した
「美月が戻ってきたがったら、どんな状態でも必ず連れてくるように、わかったな。」
善蔵は厳しさを前面に押し出した
「もちろんです。俺の娘を押さえつけるマネはしません。」
「弥生にもよろしく言ってくれ。それから、長期休みに一度くらい会いに来いとな。」
「必ず伝えます。」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げて紫雨は善蔵宅を後にした
これ以来、紫雨をみたものは誰もいない