姉妹
「愛の反対は無関心」

最初に言ったのは誰だろう

後世まで伝わるこの格言を遺した偉人を私は心から尊敬する

と同時に、全身全霊で呪いたいと思う


心を込めて怨みます


どうして気がついてしまったのですか


あなたが気づかなければ、悪用されることもなかったでしょうに







美紅と絵梨花の"戦い"が始まってから数日がたった

依然として絵梨花が優勢であった

といっても、朝学校に行くと上履きが隠されているとか、机が落書きだらけになっているとか、ベタないじめは全くなかった

みんなが美紅に関わらないようにしていた

「私は痛い目にあいたくない」

そういわんばかりに

"いじめ"は表面上なんの痕跡も残さず、静かに美紅の心を深く深く傷つけていった


昼休みはもちろん一人、お弁当も移動も一人


美紅が一人でいる姿は廊下に飾られている絵画のように日常にすんなりと溶け込んでいった

とくに異議を唱える者も指摘する者もいなかった

それくらい「自然」だった


ただ一人、美月を除いては
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