姉妹
「最近めっきり晴れなくなったなぁ」

善蔵はつぶやいた

「梅雨ですもの、仕方ないわ」

善蔵は驚いた

独り言のつもりだったのに妻から返答があるなんて思わなかったからだ

祖父-善蔵は妻と会話するのがすっかり億劫になっていた

妻のことが嫌いなわけではない

長年自分の伴侶として連れ添ってくれたことには感謝しきれないほど感謝していた

ただ一つだけ、どうしても許せないことがあった



美紅をあからさまにさけている

幼い頃からそんな待遇を受けてきたので、美紅は気にしないことにしたのだろうが、祖父として個人的に気になっていた


祖母として、あからさまな差別は良くないだろう


言いたかったが、今だ言い出せずにいた

そのまま七年が過ぎた


・・・雨が降っている


どんよりとした嫌な天気だ


美紅は学校でなにかあったのだろうか


何も言わないが、そんな気がしていた

隠しているつもりだろうから追求するなど野暮なことはしないが、詮索したいのは山々だ

美月がいるから酷いことにはなっていないと思いたいが・・・

正直心配だ

心配で仕方ない


雨が降っている

止む気配はまだない
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