姉妹
思わずため息が漏れる


「美紅に何かあったとは思わないか?」

「特に気がつきませんでしたわ」

「そうか・・・」

ぴしゃりと閉じられてしまった

まるで、もう何も関わりたくないとでも言わんばかりだった

「美月からは何か聞いているか?」

「いいえ何も・・・ただ最近妙にあの子に絡んでいるような気はしますけどね」


"あの子"・・・もう美紅の名前をいう気にもなれないらしい


「・・・そうか」


「もう中学生ですから、そんなに気にする必要ありませんわ」



姉妹の祖母にあたる女性はくるりと背を向けて台所へ入っていった




もう疫災はこりごりなのよ



背中からありありと伝わってきた



もう中学生


自分で解決出来るだろうか


否、自分で克服しなければならないのだ



美紅、悪魔に負けないでくれよ・・・!


善蔵は朝食を掻き込み、顔を冷水でピシャッと洗って玄関に向かった


日課の散歩に行くのだ

「行ってくる」

トントンと祖母が送りに来た

「お前もたまにはどうだ」

「私はいいですわ。またの機会に。あ、傘をお忘れなく」

「おう」

善蔵は玄関を背にした
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