姉妹
美紅はどうして「違和感」を覚えてしまっていたかをまず記さねばなるまい



彼女が七つにしてこの事実を知るまで、その小さな胸に抱き続けた違和感はどのようにして生まれ蓄積されていったのか…



しかし今は、決定的となった出来事を一つだけ述べよう



美紅は双子の姉・美月と1番遊んでいた



否、そうせざるを得なくなったのだ



5歳くらいまでは近所の子供たちとも遊んでいたことは記憶の断片に残っている
事件は木登りをしていたときに起きた


近所の所謂いじめっ子が、得意げに木登りをしていた


いつも何かしらちょっかいを出されていたし、今日も不愉快な目に逢わされたから、ちょっとだけ、ほんの純粋な気持ちで「落ちちゃえ」と美紅は思った




その矢先である



いじめっ子の少女は木の頂上からいきなり足を滑らせて真っ逆さまに落下した


ここで誤解しないで頂きたいのは、美紅は決して「何もしていない」のだ


そう、「何もしていない」


文字通り「そこに居ただけ」


…ただ、口元を少しばかり綻ばせてしまっただけだ



しかし、「偶然にも」その場にいた子供達は見てしまった


想像以上に邪悪に歪んだ美紅の顔を


そして純粋に当然に、怖いと思ってしまった
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