姉妹

「なんでもないよ」

「えぇ!?なになに~」

美紅は不安そうな顔をしている


「あ!」

ふいに、美紅が声を上げた

「なんだ?」

「あのね、今日は晴樹が来てくれて本当に良かった!晴樹と友達になれて本当に良かったと思っているの!」

「な、なんだよ急に」

晴樹はいきなりの告白(?)にかつてないほど取り乱した

「私、今まで友達らしい友達いたことなかったから…」

「おい…」

美紅が一瞬ものすごく淋しそうな顔をした

これが善蔵の言っていたことなのか?

“美紅の闇”を垣間見た気がした

「だからね!!」

美紅がくるっと明るい表情になった

一点の曇りもない笑顔

「私はちゃんと言いたいの!変なこという奴だなって思うかもしれないけどちゃんと言っておきたいの!」

「晴樹、私と友達になってくれてありがとう!!!これからもよろしくね!!」


美紅は感情表現が得意なタイプではない

いや、人生の過程でそうなってしまったのだろう

そんな美紅がストレートに感情を出している

感謝を告げている


晴樹は美紅をいとおしいと思った
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