姉妹
「おい、なんだ今の狂った笑い声はっ」


「まさかまさかまさか、」



「「美紅」」



祖父母は顔を見合わせる




ガラガラッ  バキッ


「「!?」」


その時どこからともなく何か破壊音のような音がした


祖父母は立て続けに起こっている現象を把握できず、ただただ青ざめて顔を見合わせていた



「おい、何が起こっている」


「いやですよ、私は見たくないわ。だってなんだかとても・・・嫌な予感がするの」


「分かった」


祖父はやっとの思いでおもむろに重い腰をあげた



行ってはならない、と本能が告げる


危険が待っている、もう後には戻れないかもしれないぞ、と




一方で自分の目で確かめたい、というある種の好奇心も渦巻いていた


ー 好奇心?


そんな馬鹿な、


祖父は被りを振る


妻は嘘をつくような人間ではない


その妻が最愛の孫、可愛い可愛い美紅を「悪魔」と言っている


美紅は悪魔ではないと固く信じている


例え、これから何を見てしまったとしても


    絶対に


しかし自分の真実と妻の真実、どちらが正しいかを秤にかけてみることは決して間違っていないはずだ



それを確かめるために明らかに危険な空気に飛び込んでも、なぜかワクワクしてしまうのも、間違っていないはずだ



ー俺は、可笑しいか?



複雑な思いを胸に抱いたまま、音のする庭へついた



この障子一枚隔てた先には、何が待ち受けているのだろう?
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