姉妹

扉がきちんと閉められたことを確認して美月は布団にダイブした

「あー」

「あんな笑顔みせられるとは思わなかったわ。私だってみたことないのに。あんな、」

あえて言葉に出して言ってみる

聞いている人なんていないけれど

黙っているよりはずっとましな気がした

「幸福な顔出来るなんて。晴樹って罪な男だわ」

「美紅はようやく幸せになれるのね」

「・・・羨ましいなぁ」

あ、本音、出た

「って私・・・。まぁあの子は今までがありえないくらい不幸だったからなぁ。幸せになる権利あるわ」

・・・じゃあ私は?

「私は幸せにはなれないのかしら」

「今までが幸せだったから」
・・・果たして本当に幸せだったかしら?

私、幸せだったかしら

「幸せだったに決まってるわ。才能も友達もあった。美紅もいた、」

「私が幸せじゃなかったなんて言ったら、神様が怒っちゃうわ」

「でも、」

晴樹は私を好きにならなかった

美紅を選んだ

一目みただけで
少し話しただけで

美紅しかなかったんだ

「いいなぁ」

私には初めから勝ち目なんてなかった

「あ、」

美月の眼には涙が溜まっていた

ここでようやく認めるなんて

「私は晴樹が好きだった」
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