姉妹
この薄っぺらい障子の先に美紅はいる


このとてつもない破壊音と狂ったような笑い声は美紅の仕業だ



一瞬たりとも見ていないはずなのに光景は異常なほど鮮明に浮かんで来る



意を決して障子を勢い良く開けた



「あぁ、」




背を向けている美紅はまだこちらに気がついてはいない



「美紅、何をしているんだい?おじいちゃんにも教えてくれないか?」



極力今受けた衝撃と恐怖を悟られないように優しく話し掛けた





「・・・・・・・・・・・・・・・」




美紅は無言で振り向いた


長い沈黙




美紅はひたすら 無 だった


しかし目だけは違う


その目は狂気が浮かんでいるように見える


警戒心も伺えた


「あんたはどっち側の人間?」


そう問い掛けられた気がした



「美紅、おじいちゃんは味方だよ」



「……」



心なしか無表情が和らいだようにみえた
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