花は香り 人は何?




窓を開けると朝のピンと張りつめるような風が入ってくる



いっしょに流れこんできた甘い香りは、目の前に広がる花畑のものだろう




この景色もしばらく見えなくなってしまう



カトリーナはそう物思いにふけっていた



「姫様、お支度が整いましたよ」



その言葉でどこかへ飛んで行っていた意識が戻ってくる



後ろを振り向くとカトリーナの乳母であるアルタが立っていた



「ありがとう」



アルタにはいつも放浪先を教えていた



もちろん今回も



いつもはひとりで行けるのだが、今回は侍女がひとり付いてくる事になってしまった



アルタに出かける時は伝えると約束してしまったから…



そう思いつつも、意識は遠いウラノス国へと飛んでいた




< 41 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop