花は香り 人は何?
窓を開けると朝のピンと張りつめるような風が入ってくる
いっしょに流れこんできた甘い香りは、目の前に広がる花畑のものだろう
この景色もしばらく見えなくなってしまう
カトリーナはそう物思いにふけっていた
「姫様、お支度が整いましたよ」
その言葉でどこかへ飛んで行っていた意識が戻ってくる
後ろを振り向くとカトリーナの乳母であるアルタが立っていた
「ありがとう」
アルタにはいつも放浪先を教えていた
もちろん今回も
いつもはひとりで行けるのだが、今回は侍女がひとり付いてくる事になってしまった
アルタに出かける時は伝えると約束してしまったから…
そう思いつつも、意識は遠いウラノス国へと飛んでいた