花は香り 人は何?
「カティーナ、メイナ。」
「「はい」」
頭を下げたまま、返事をする。
いつもはぼけっとしているメイナだが、この時ばかりはちゃんとしていた。
「頭をあげなさい。」
ビスカ様の声が近づいてくる足音とともに聞こえる。
メイナと息を合わせて頭を上げると、背の小さい着飾った少女が目に入る。
これがビスカ様…
ルイ様とはあまり似ていない。
この国独特の肌色。
目に焼けつくような赤毛。
海の底のような黒い瞳。
さっきの下品な言葉を使ったとは思えないような美少女だった。
「あら
顔が見えないじゃない。
それとって」
私達が頭に着けている布の事を指しているのだろう。
この国は日差しが強いので、目だけ見えるようにして他は布で隠していた。
他の侍女がやっていたのを見て、ちょうどいいと着けていた。
これなら顔がバレなくてすむと思ったのだ。