花は香り 人は何?




「カティーナ、メイナ。」



「「はい」」




頭を下げたまま、返事をする。




いつもはぼけっとしているメイナだが、この時ばかりはちゃんとしていた。



「頭をあげなさい。」



ビスカ様の声が近づいてくる足音とともに聞こえる。




メイナと息を合わせて頭を上げると、背の小さい着飾った少女が目に入る。




これがビスカ様…




ルイ様とはあまり似ていない。



この国独特の肌色。



目に焼けつくような赤毛。



海の底のような黒い瞳。




さっきの下品な言葉を使ったとは思えないような美少女だった。




「あら



顔が見えないじゃない。




それとって」




私達が頭に着けている布の事を指しているのだろう。



この国は日差しが強いので、目だけ見えるようにして他は布で隠していた。




他の侍女がやっていたのを見て、ちょうどいいと着けていた。



これなら顔がバレなくてすむと思ったのだ。



< 61 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop