風見鶏は一体何を見つめるか
 机の片隅に『調査用紙』を置いたまま、僕
は授業を受ける。

教科書を広げ、ノートを広げ、プリントを隠
すようにして、でもその存在を視界から消さ
ないようにする。

だけど、机の上に大きく広がる教科書より
も、『調査用紙』の方が圧倒的な存在感を持
っていた。

――自分の進路なんて、考えたこともなかった。
でも、本当にどうしようか。

不意に、ちょんちょん、と腕に何かが刺さ
る感覚がした。

反射的に、その感覚がする場所の右腕を見
る。

そこには、シンプルな、けれどもどこか愛着
のわくデザインのシャーペンがつっついてい
た。その先――僕の右隣を見る。


 隣の席の女の子――西村さんが「前、前」と
小声で囁きかけていた。

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