風見鶏は一体何を見つめるか
「なんで!?藤枝クンの頭だったらイイトコ
狙えるじゃん」

「大学に二人もいくだけの余裕がうちにはな
いんだよ」

「どうして?お父さんとか、学費だしてくれ
ないの?」

「もう少し空気読めよ…、京子」溜息をつい
た飯島が呆れ顔で西村さん(言い忘れていた
けど彼女の本名は西村京子という)を見た。

一瞬何のことかわからないといった様子で、
西村さんは飯島を見、再び僕のほうに視線を
戻す。その瞬間、西村さんは息を呑んだ。

自分でも今どんな表情をしているのか、なん
となくわかる。たぶん、不機嫌な顔をしてる
んだと思う。

苦々しい棘がココロをチクチクと刺激してい
るのを感じながら、僕は言った。

「――父親はいないんだ」
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