崩壊ハイティーン
とうとう学校が終わるまで、透は奏多とは一度も話さなかった
透が幸多に奏多について聞いてみると、幸多はなんとなくといった感じの返事と相変わらずの笑顔しかしなかった
透は、このまま1日話さないつもりでいた
しかし、最後の最後だった
幸多と透は家が近く、また仲も良いので一緒に帰宅するのが日課だった
それに奏多が加わったのだ
3人で並んで歩いてから、初めに口を開いたのは幸多だった
「奏多、うちの学校どう?」
奏多は口をへの字に曲げた
「うーん、まぁ俺はどうでも上手くやってけんじゃない」
奏多の表情は以前、透が初めて会ったときのものとそっくりだった
何かつまらなそうなしらけた顔…
透はその奏多の様子を見て確信した
あの日の奏多は幻なんかじゃない
むしろあの日と今の奏多が本物で、学校であの笑顔を浮かべた奏多が幻なんだ
透は思わず奏多に言った
「なんで急にあんなに態度変わったの?俺と遊んだ時は―…」
透はそのさきは言えなかった
奏多があまりにも鋭い目をしてくるから、ひるんでしまった
透は背筋がぞわりとしたのを感じた