崩壊ハイティーン


それからいよいよといった感じで、その担任は転校生がクラスに来ることを話した



透と幸多以外の児童は、口々に何かを話し、期待したような目をキラキラと輝かせている



真ん中の列の前から2番目の透は、ドア側の1番前で1番端の幸多の様子をさりげなく窺った



幸多は隣の席の女子に話しかけられていて、にこやかに会話をしていた



幸多の後ろの席は、空いていた



誰も座っていなかった



そこが転校生、奏多の席なんだと透は気づいた


そして、幸多のすぐ近くのドアがガラリと音をたてて開く



奏多が来るとはわかっていたし1度見たことがあったのに、透は思わず幸多が教室に入ってきたんじゃないかという錯覚を受けた



その瞬間、クラス中がどよめいた


地震が起きたかのように、クラスの声や動作で教室が揺れる



「芦名だ!」




「こうちゃんじゃん!なんで!?」



クラス中が口々に驚きの声を出す


女子からは黄色い声が聞こえる


その反応は、透の想像以上だったから、思わず透は周りを見渡してみた



ざわつくクラスを担任がたしなめてから、担任は奏多に教壇のすぐ隣までこさせて、ニコリと笑った



奏多はというと…




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