崩壊ハイティーン
あの日3人で遊んだ時のような無愛想な表情…
なんてしていなかった
にっこり笑って立っていた
その姿はまさにいつも見ている幸多だった
担任は奏多の紹介をした
もちろん、幸多と兄弟であり、双子であることも言った
周りは幸多の双子の存在に驚いていたが、透は奏多の嫌に愛想のいい笑顔に狼狽した
にっこり笑って、「これからよろしくお願いします」と言った奏多には、あの時の無愛想で自己中な様子なんて微塵も感じなかった
透は慌てて幸多のほうをまた見た
幸多も少し怪訝そうな顔で、奏多を見ていた
奏多はそんな幸多の隣を通りすぎて、指定された自分の席に腰かけた
休み時間になれば、芦名兄弟にクラスメイトが集まった
違うクラスの児童も噂を聞き付けて、奏多を見に来るほどだった
奏多は1日中愛想が良く、まさにいい子だった
それこそ幸多と同じように
透は奏多には話しかけなかった
常に誰かに囲まれていて話せない状況であったし、あまりの変貌ぶりにあの日遊んだ奏多の様子が嘘のようで、どうしたらいいのか透自身わからなかった
あの日のことが、本当に嘘なんじゃないかと感じるほどに