ラブソングをもう一度



どうやら驚いているのは俺だけではないようで、ソファーで寝転んでいた巧さんは、飛び起きた。

そして、その穏やかな表情がこわばっていくのが見えた。



「君は、ここに来て、どうしたいの?」

口を開いて出たその言葉は、俺が予想もしてなかった言葉だった。



「どうって……、ただ、会いたくて……」

思わずそう言っていた。



「ただ会いたくて、って。君は伶良の病気のことを知ってるの?」

穏やかな口調は変わらず、問いかけられる。


「……レイラ?」

彼の口から出た名前。それは俺が一度も耳にしたことはない名前だった。

そうか。

レイラというのがレイの本当の名前なんだな。

そう、すぐに考えた。



< 130 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop