ラブソングをもう一度
俺たちは、バカでかい病院を出た。
「RAYを、案内するよ。ほら、レイから聞いてないかな?ライブハウスなんだけど」
和泉の饒舌な喋りも、今の俺には何も感じさせない。
「ああ、お前のお兄さんが経営してるっていう……」
前にそんな話をレイから聞いたことがあったな、と遠い目をする俺に、被せるように和泉は続ける。
「兄貴が経営してたのは、あいつが学生の時までだよ。今はあの土地と建物は兄貴のもんだけど、実際の経営は、俺。レイには言ってないけどね」