ラブソングをもう一度
朝、起きて、海をバイトに送り出す。
「なんだか、新婚みたいだね」
と、言うと、
「恥ずかしいからやめろ」
と、あっさり返された。
だけどあなたは、玄関で見送るあたしに、優しいキスをひとつくれて、手を振りながら、出掛けて行った。
「さてと」
クローゼットを開けて、黒いワンピースを出す。
海の家に初めて来たときに着ていた、ワンピース。
早々と着替えて、それまで着ていた海のジャージを畳む。
そして、持っていたショルダーバッグを提げて、海の家を後にする。