ラブソングをもう一度
「男でも、できた?」
時々、この男が関心するほど、勘がいいのは、どうしてだろうか。
「なんで?」
幼い頃から唯一の友達、幼なじみゆえに、だろうか。
「当てずっぽうで言っただけだったのに。わかりやすいな、レイは」
「あんたに、言われたくない」
ステージから、カウンターに移動して、お湯を沸かし始めた和泉を思いっきり、睨んだ。
「俺はただ、レイには幸せでいてほしいだけだよ、はい、ハーブティー」
差し出されたハーブティーを受け取る。
とてもいい香りがした。
「アンナさんは?」
ハーブティーの匂いをかぐあたしを満足げに見ながら、和泉は言う。
「知らない。男の所でしょ。帰っても、居なかったから」
あたしの姉、杏奈(アンナ)は、昔から節操無しで、男の所を渡り歩いて生活していた。
「お母さんと、お姉ちゃんはぞっとするくらい、そっくりだよ」
カップの中のハーブティーを飲み干す。
「レイとアンナさんは、あまり似てはないよ」
カップをカウンターに置いたあたしに、慰めるように和泉が言う。
「そしたら、あたしとパパが似てるってことになるのかな」