ラブソングをもう一度
「レイは、想いを口で話すより、メロディーに乗せたほうがいいね」
和泉にアコースティックギターを手渡される。
即興のメロディーに、適当な英語の歌詞を乗せて、歌う。
心がすっと晴れていくのを感じた。
「そういうのを、人は天才と呼ぶんだ」
和泉の言葉に、なんだか気恥ずかしくなる。
「帰るよ」
ギターを和泉に返してショルダーバッグを提げる。
「また、歌いにおいで。それか、歌いに行こう、駅前に」
「考えとく」
足早に、ライブハウスを出る。
駅前か…。懐かしいな。