ラブソングをもう一度
蒸し暑さにうだりそうになりながら、ライブハウスまで向かう。
店の電気が、完全に落ちていることを確認して、裏口に周る。
ドアの横にある螺旋階段を下りれば、そこには、ひとつ、重そうな黒い扉。
ドアノブに手を掛けて、お姉ちゃんの言葉を思い出す。
いきなり開けるのは、止めておこう、と思い立って、コンコン、とドアをノックする。
「はい」
中から、聞き慣れた声がする。
「どうしたの、ノックなんかして」
扉を開けてくれた和泉が、何か疑うような目で、あたしを見る。
「お姉ちゃんが、あんたを昨日、ホテル街で見たって…」
「俺が、ここに連れ込む女はお前だけだよ、レイ」
またそんな胡散臭いことを行って、あたしを部屋に招き入れる。