ラブソングをもう一度
「普通の人。普通で平凡で、優しい人」
和泉が一瞬、鳩が豆鉄砲を食らった、とでもいうように、犬のように、丸い目を、更に丸くさせて、あたしを見た。
「病気のことは?」
ずけずけと、そしてあっさりと、あたしに尋ねた。
「話さない。話すつもりもない。大丈夫。そのうち、彼の前から姿を消すつもりだから」
こうして、口に出すと再確認する。
どこかでがっかりする自分が嫌になる。
そうだ。最初から、そのつもりだったんだ、と。
気持ちを軌道修正して、立て直す。
限界は、すぐそこまで近付いてきている気がする。