ラブソングをもう一度
あたしと和泉がステージに上がると、ライブハウス内に拍手がおこる。
この小さなライブハウスでは、和泉は普段ドリンクを作り、入場してくる客の受け付けをしていた。
滅多にこうしてステージに上がることがない和泉だけど、恵まれた音楽的センスに、そのルックスも手伝って、多くの客や仲間から人気があった。
「相変わらず、すごい人気だね」
皮肉を込めて、そう言う。
「ここにいるみんなはほとんど知り合いだから、仕方ないよ。それより、お客さんは、お前の声が聞けるって喜んでるよ」
あたし達は、時々こうして一緒に歌を歌った。
大抵が、洋楽の曲をコピーしたものだったけど、和泉の書いた曲に、あたしが歌詞を付けて歌うこともあった。