ラブソングをもう一度
「ごはんにしよっか」
先に口を開いたのは、海の方。
いつもと同じ、優しい声がひどく悲しい。
「あのね…、あの人、さっき一緒に居た…」
そう言ったあたしの言葉に、一瞬、凍りつくような表情をした海を、見逃さなかった。
やっぱり、海はあたしを愛してくれていると錯覚してもいいのだろうか。
「ただの、幼なじみなの。ただの」
ただの、を強調する。まったく。こんな言い訳をして何になるんだろう。
愛してくれている、なんて錯覚に過ぎないのに。